いきなり王子様
美散さんは、肩を竦めながらぽつり。
「はいはい。やっぱり竜也と奈々さん、似てるわね。
あ、見た目じゃなくて性格が」
「はあ?」
「だって、こんなに見た目麗しい女の子が『ほっけ』って意外だもん。
イメージだけだと、『なんでもいい』とか言って竜也に甘えるタイプかなって見えたからね。
ふふふ。似てる似てる。竜也も『ほっけ』大好きだもんねー」
「うるせっ。早く仕事に戻ってヤスを手伝えよ」
「あ、照れてる。いいもん見たなー。じゃ、美味しい物をいくつか食べてもらおうかな。奈々ちゃんごゆっくりー」
からかうような声と視線を残して、美散さんは慌ただしく背を向けたけれど、その背中は小さく震えていた。
きっと、笑っているんだろう。
「何だか、楽しい人だね」
その背中を見つめながら、思わず呟いた私に、竜也は『くそっ』と一言。
その顔は、どこか赤みを帯びていて、これまでの落ち着いた竜也のイメージとは違って。
「え?怒ってる?それとも彼女が言うように、照れてる?」
何も考える事なく、私は思わずそう呟いた。
冷静に仕事をこなす姿と、女の子に対して距離を置いた様子、そして。
強引とも言える言葉で私との『遠距離恋愛』を決めた強さ。
そんな竜也しか知らなかったせいか、美散さんとの子供じみた会話や、目の前で表情を緩めている様子は新鮮で面白い。
そして。
「美散さんと、すごく仲がいいんだね」
二人がじゃれ合うかのようにポンポンと言葉を交わしている姿を見て、自然とそう思えた。