いきなり王子様

幼馴染だという関係だから当然だけど、二人の親密さは一目で理解できた。

「いつもあんな感じで俺をからかうのを仲がいいっていうなら、小さな頃からずっとそうだな。腐れ縁ってやつ」

「へえ……。私にも幼馴染はいるけど、あんなになんでも言いあえないかな」

「性格にもよるだろ。美散は誰にでもああだから。たまにむかつくけど、根はいいやつだから、奈々も仲良くしてやって」

「う、うん……」

「言い方はきついところもあるけど、少なからず苦労もしてる。
人情家で熱すぎるのが残念だけどな」

軽い口調でそう呟きながら、他のお客さんの相手をしている美散さんを見る竜也の表情は、ひどく優しくてまったりしている。

美散さんを大切に、そして他の女の子とは違って特別な思いで見守っている事がありありとわかる。

表情豊かに店内で楽しそうに働く美散さん。

時折旦那さんのヤスさんと会話もしつつ、それはそれは幸せそうで輝いている。

「仲がいい夫婦なんだね」

どこか息苦しい気持ちを感じながら呟くと、竜也も小さく頷いた。

「……だな。誰もあの二人の仲を邪魔できないんだ」

ぼそっと漏れたその声がどことなく苦しげだと感じたのは、私の気のせいなんだろうか。

相変わらず混み合う店内の雑音の中で、私の鼓動が重苦しく打つ音が聞こえた。



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