いきなり王子様
おまけに。
「美散さんの事が好きなくせに、私を気を気に入ってるふりをするなんて最低」
一度頭に血が上ると、自分の言葉を制御できない私の性格が、顔をのぞかせて。
しまった、と思って甲野くんに視線を戻した時には。
ぐっと体温が下がったような、冷たい表情の甲野くんの横顔があった。
どこか傷ついたような瞳からは、私の言葉が正解だったと教えてくれる雰囲気が溢れていて、やっぱり美散さんに惚れてるんだなあと、改めて思い知らされた。
そして、思っていた以上に私の心は傷ついてしまった。
「ごめん……言っちゃだめだったね。美散さん、結婚して幸せそうだったから、もう甲野くんのものにするなんてありえなさそうだし、辛くても諦めるしかないよね……。
本当、ごめん。好きになっても報われない悲しみを蒸し返してしまって」
はあ……。
確かに甲野くんがイライラと不機嫌さ丸出しで私に当たる気持ちには私もむかつくしやめて欲しいけれど、その理由である美散さんへの報われない恋心を軽々しく口にしてはいけなかった。
「私、かっとすると後で後悔するような事を口にしちゃうから。
何度も同じ失敗してるのに、なかなか学習しなくて、本当バカなんだ」
いい大人なのに、どうしてこうも何度も同じ失敗ばかり。
甲野くんが美散さんの事を好きだからといって、その事を私がとやかく言う権利なんてないし、人の思いを軽々しく扱っていいわけではないのに。
「……甲野くんが、美散さんの事を好きなら、それはそれで仕方ないよね」
そんな私の反省の言葉をじっと聞いていた甲野くんは、小さく息を吐くと、
「お前、ばか?」
呆れたような声で呟いた。