いきなり王子様


   *   *   *


竜也が運転する車は、モーニングを食べたお店から15分ほど走った後、静かな住宅街で止まった。

休日という事もあって人通りも少なく、緩やかな坂道沿いに建っている住宅の前に止められたところを見ると、目の前の大きな家に用事があるらしい。


「ここ?」

エンジンを切った竜也は、小さく頷くと運転席から降り、私にも降りるようにと声をかけた。

少し緊張しながら助手席から降りて、豪華な造りの門扉に目をやると、その向こうには緑豊かな広い庭が見える。

住居自体かなり広そうだけど、敷地全体を考えるとかなりの面積だろう。

この近辺全ての住宅が同じように大きいせいで目立たないけれど、私の実家に比べると……まあ、比べる事自体無謀だな。

「これ、持っていってくれるか?」

後部座席から幾つかの荷物を取り出した竜也が、私に一つの紙袋を差し出した。

そっと受け取ると、それは私もよく知る人気洋菓子店の包み。

「あ、ここのシフォンケーキがおいしいんだよね」

「え?そうなのか?クッキーを買ったんだけど、シフォンケーキの方が良かったかな」

竜也は、私が持つ紙袋よりも更に大きい袋を手に、困ったような顔を見せた。

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