いきなり王子様
* * *
私の緊張感とは対照的に、初めて会う竜也のお姉さんは
「うわあ、本当に女の子を連れてきたのね。それもこんなに綺麗なお嬢さんを手に入れるなんて、どんな汚い手を使ったのよー」
竜也の腕を掴み、ぶんぶん振り回しながら明るい声をあげていた。
「うるさい。どんな汚い手だろうが綺麗な手だろうが、手に入れたもん勝ちなんだよ」
ふてくされたような声で答える竜也の様子は、普段見ているそれよりも数段子供っぽい。
お姉さんがにやりと笑いながらからかい続ける声にうんざりしながらも、そのあしらい方は慣れているようで、昔からこの二人はこんな感じなんだろうなとわかる。
私と兄貴との関係にも似ていて、少し笑ってしまった。
こんなに大きなお屋敷に住んでいても、普通に会話している二人を見ると緊張感も薄れてくる。
「で?今日は彼女と二人で璃乃の事を見ていてくれるの?」
竜也のお姉さんが、私に視線を向け、首を傾げた。
「あ、えっと……私は何も聞いていなくて」
突然の質問に、私は焦りながら答える。
「あら、そうなの?竜也って、相変わらず俺様状態?
そんな事してたら、また逃げられるわよ」
「うるさい。逃がさねえから、余計な事言うな」
「……だって。えっと、奈々ちゃんだったっけ?
こんなわがままな男だけど、長い目で見て付き合ってあげてね?
根はいいやつなのよ。ただ、自信がありすぎるっていうか……」
「はあ」
勢いよく飛び出す言葉の羅列に圧倒されて、ただ頷いていると、竜也が大きなため息を吐いた。