遺伝子2
学校に着くと、真由美ちゃんが来ていなかった。
いつも、俺より早く来ているハズなのに……
嫌な汗が背中を流れ落ちた。
きっと、風邪なんだ。
そう自分に言い聞かせ、俺は他の男子と普通に、いや普通を装いながら話して居た。
しかし、朝の会が開かれると、やはり昨日の事が夢では無かった事が先生の口から告げられたのだった。
どうやら、体の一部が見つかったらしい。
きっと、俺が昨日掴んでいた頭部だろう。
酷い殺され方を、なるべく柔らかく俺らが傷つかない様に話してくれる先生。
「真由美さんは、きっと……天国で…安らかに……安らかに…」
言葉に詰まる先生。
涙声になりながらも、先生としての立場からか涙を必死に隠していた。
もう、真由美ちゃんは居ないんだ……
クラスの中から啜り泣く声があちこちから聞こえてきた。
ガックリと肩を落とす俺に、隣に座る男子が心配そうに肩を叩いてくる。
俺はそいつに向かって、瞳に涙を溜めながらひとつ頷くと、再び前を向いた。
悲しくて苦しくて、息が詰まりそうだった。
でも、手をかけたのは紛れもなく自分自身なのだ。
あり得ない。
この時からだろうか。
俺は人を【愛する】事を辞めてしまった。
余りにも苦しかったから……
俺が好きにならなければ、こんな辛い事が起きないと悟ったから。
だから……
仕方なかったのだ。