114歳の美女
 智也が何かそわそわしている。


 「どうしたんどすか」
 「ちょっと・・・」

 「トイレどすか」
 「まだ、ベッドから動けなくて」


 (水臭い。うちに何で頼まへんの)


 ときが心の中で呟いた。

 「うちが・・・」

 「ときさんには頼めませんよ。後で看護士さんにお願いします。たいした事がないので、実家の母親には連絡してないもので」

 「水臭いお人やな。うちに頼まんつもりなら、これから来まへんで」

 「そんなあ・・・。仕方がない。腹をくくるか。では、お願いします」

 「尿瓶は?」
 「ベッドの下です」


 ときがベッドの下から尿瓶を取り出した。

 「やっぱり、恥ずかしいな」

 智也がベッドの上でもじもじ、もじもじしている。


 「ええい。じれったい。てめえ、男だろ。女の腐ったみたいに。うじうじ、うじうじしやがって。早く、しやがれ!このくそったれが・・・」


 ときが例の柄の悪い言葉遣いになった。


 「わ、わかりましたよ、姐さん。どうにでもして下さい」


 智也が開き直った。





 
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