114歳の美女
 清水寺からの帰り道。

 二人は三年坂である店に立ち寄った。
 その店は、『京焼き・清水焼明治堂』であった。


 二人が一直線にご飯茶碗のコーナーへ。


 「本当にプレゼントをしてもらえるのどすか」

 「ええ、行きの道から、結婚を了承してもらえれば、そのつもりでした」

 「了承しなければ・・・」


 ときが少し意地悪な顔をして、問いただした。

 「ここには、来なかった。いや、来れなかったかな」
 「なぜ、どすか」

 「その時は、清水の舞台から、本当に飛び下りるつもりでしたから」

 「ええっ、ほんまどすか。そこまでうちの事を・・・」

 ときは智也の目を見詰めた。智也もときの目を見詰めた。二人はじっと見詰め合った。


 ときの目から大粒の涙が、ひと粒零れ落ちた。
 智也が人差し指でそれを拭った。


 瞳が潤んだときは、えもいわれぬ美しさだった。
 智也が人目も気にせず、ときを抱き寄せた。


 智也の胸でときがすすり泣いている。 






 
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