114歳の美女
 ときが襖を開けて中に入り、吉のの前に正座をした。


 「お家はん、長い間お世話になりました」


 「荷物は運び終わったんか。思いのほか早かったな。これは、餞別や。何かと物入りやろ」


 吉のはお金の入った封筒を差し出した。

 「えっ!」

 ときは餞別を貰えると、全く予期していなかったので驚いた。


 「ここは、あんたの実家やからな。いつでも遠慮せんと帰って来たらよろし」


 吉のが微笑みながら呟いた。


 (優しい。いや、優し過ぎる!)


 ときは吉のの態度に、妙な不自然さを感じた。

 (何かある)

 ときは直感的に、そう思った。


 「あてはあんたの母親代わりや。何でも困った事があったら、いつでも相談に来るんやで」


 吉のはときに、精一杯優しく接した。







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