114歳の美女

 ときへ


 子を産んだら絶対に絶対にいけまへん

           母 り




 ときは母親の書き残した文字を、小さな声で読み上げた。


 「お母ちゃん・・・。ときはちゃんと守っていますやろ」


 ときの目から涙が零れた。


 「その母よりのよの字。読
めなくなっているのは、お母さんの涙よ」

 「お母ちゃん・・・」


 ときは母親の辛い思いを知って、泣き崩れた。


 「村島家の嫁が、嫌な役目を今も受け継いでいるのは、あんたのお母さんの意思を尊重しているから。私だってこんな役目、出来る事ならやりたくないのよ。・・・・・・」


 そう言って、しのぶは今回の取り決めを、ときに掻い摘んで説明した。


 「私は姑の言い付けを守っているだけです。もし、何か言いたい事があったら、姑に言って下さいね」


 「お家はんに・・・。うちは苦手どす」


 ときは母親の写真を見せてからは、余り文句を言わなくなった。






 
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