114歳の美女
 次の日の午前中、ときはいつものように『café昔昔』にいた。


 いつもの席に座り、いつもの風景を窓越しに見る。これが、ときの至福の時間。


 「とき姐さん、みっけ」


 後ろの方から声がした。
 振り返ると、ぼんと呼んでいた中津俊介だった。


 「あっ、ぼんやないの。どうしたん」


 大学を卒業して4年、俊介はとある新聞会社の報道カメラマンになっていた。


 「1週間後にニュヨークに転勤なんだ。それで、その前にとき姐さんに、ぜひとも会いたくて。ここまで車を飛ばして来たんだ」

 俊介が目を輝かせて『cafe昔々』に来た理由を、ときに説明した。


 「嬉しい事を。せやけど、ぼん。とき姐さんは、何とかならない」
 「じゃ、どう呼べば」


 「ときでは」
 「ときか。何か姐さんのいい人みたいだな」


 満更でもないような顔をして俊介が。





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