114歳の美女
 暫くすると、隣から規則正しい寝息が聞こえて来た。俊介は一日中ときのお供で、疲れたのだろう。安らかに眠っていた。


 ときは朝方、うとうとと眠りに就いた。

 朝になった。

 ときは俊介より早く目が覚めた。俊介が起きるまでに、ときが着物の着付けを終えていた。
 朝の明るい日差しの前で、俊介に裸を見せる勇気は、ときには無かった。


 ときは手提げ袋の中から、サングラスを取り出した。
 ときがサングラスを掛けた。前の風景が少し暗くなった。

 (これで、落ち着ける)

 鏡の中の、サングラスを掛けた自分に向って、ときが呟いた。
 俊介が目覚めた。そして、ときを見た。


 「どうしてサングラスを掛けているの」


 俊介がときのサングラスに目を留めた。


 「目が疲れて」
 ときが嘘を付いた。


 (本当は・・・)

 ときはサングラスを掛けていても、俊介と目をあわす事を避けていた。






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