114歳の美女
 「ときさん・・・」


 しのぶの目から涙が落ちた。
 しのぶは、その涙を左手で素早く拭った。


 「たった一度の過ちで・・・。ときさんが可愛そう。いや、可愛そう過ぎる。ときさん、あんたは数奇な、数奇な、運命を背負っている。私がこれから、体を張って守って上げる。守って上げるからね」


 しのぶが涙ながらに呟いた。


 「おおきに」


 ときの目にも涙が浮んでいた。


 車が家の前に着いた。


 しのぶはときを労わるようにして、部屋に連れて行った。そして、急いで布団を敷き、ときを寝かせた。


 ときはその後、ずっと布団の中で泣いていた。
 泣いても泣いても、涙が泉のように湧き出して来た。


 「罰や。ばちや」


 「罰が当たったんや」


 ときは泣きながら母親の遺言を守らなかった事を、心から後悔していた。










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