114歳の美女

 乳房の奥が痛い。
 その痛みが、ときにはとても心地良かった。


 「まだ、欲しいの。先は大食漢ね。いいわ。好きなだけ、上げまちゅよ」


 ときが乳房を揉み続けた。
 突然、隣の赤ちゃんが泣き出した。




オンギャー、ンギャー、ンギャー・・・。




 ときは、赤ちゃんの鳴き声で我に帰った。


 「あっ、やばい」


 ときが慌てて乳房を着物の中に仕舞った。


 看護士が早足で新生児室に入って来た。そして、泣いている赤ちゃんのそばに来て、おむつを調べて始めた。


 ときは、先と名付けた赤ちゃんに目をやった。

 
 「先!」



 「さようなら。大きく育ってね」



 ときは赤ちゃんに向って、小さな声で別れを言った。
 赤ちゃんは、何でも無かったようにすやすやと眠っていた。









 
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