114歳の美女
 余りに可愛いので、ときが両手に少し力を入れて抱き締めた。


 「ふんぎゃー、ふんぎゃー・・・」


 突然、赤ちゃんが目を覚まし、泣き出した。
 ときに抱き締められたのが、赤ちゃんには苦しかったのだろう。


 「ううん、ばあー。ううん、ばあー」


 ときは慌ててあやし出した。
 赤ちゃんの泣き声が、母親の耳に入った。
 母親はこちらを睨み付けると、鬼のような顔をして走って来た。


 「何をするのや!この女は・・・」


 母親がときに大声を上げた。


 「私の大事な赤ちゃんをどうする気や。さらうつもりか。この盗人女が」


 母親の怒りが沸騰している。
 母親は、今にもときに襲いかからんばかりの凄い剣幕だ。


 「すんまへん。余りに可愛いもんで。つい・・」


 ときが頭を下げて謝った。


 「つい、何や。つい、盗もうと思ったんか。この盗人女が」

 「警察を呼んだら」
 別の母親が言った。


 「他人の赤ちゃんを抱いたりして、うち信じられへん」
 もう一人の母親が。



 「警察行こか」
 赤ちゃんの母親が、ときの手を摑んだ。





 
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