114歳の美女
 「すんまへん。すんまへん。3日ほど前に子を流産しましたもんで。子を見て、錯乱してしもて。許しておくれやす」


 ときが必死に母親に侘びを入れた。

 「子供を流産したんか・・・・。それやったら・・・」


 母親が摑んでいたときの手を離した。


 「もう行き。今度したら警察に連れて行くからな」


 母親がベビーカーを押して、他の二人と共に去って行った。



 「赤ちゃん。赤ちゃんが・・うううっうう・・・」・


 ときはその場に泣き崩れた。そして、地面に座って、気の済むまで泣き続けた。
 暫くして、ときが弱弱しく立ち上がった。
 ときはふらふらと歩き出した。



 ときが公園を出てさ迷っていると、酒の自動販売機が目の中に入って来た。
 ときが自動販売機に金を入れ、衝動的に酒を2本購入した。


 よたよた歩きながら、ときはまた公園へ。
 そして、赤ちゃんを見ていたベンチに腰を下ろした。


 「うちの赤ちゃんを奪いやがって・・・。あれは、うちの赤ちゃんや」


 「返せ。返せ。返せ言うてるのがわからんのか」


 「先。さき。先。お母ちゃんを置いてどこに行ったんや」


 ときは喚きながらコップの栓を抜き、酒を一気に飲んだ。
 もう1本。
 水を飲むのも忘れて、ときは2本の酒を立て続けに飲んだ。



 カッー。



 胸の奥が熱い。
 焼けるように熱い。







 
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