114歳の美女
 「お母ちゃん。怖いよ~。怖いよ~。お母ちゃん。うわ~ん。わ~ん。ひっく、ひく・・・。うううっ・・・」


 子供は火が点いたように泣きじゃくっている。
 余程、怖いモノを見たのだろう。


 「くそガキが。火が点いたように泣きやがって」


 ときが皺だらけの顔で子供を睨み付けた。


 「うわ~ん。うわわ~ん、うわわわんん・・・」


 皺だらけのときの顔を見ると、子供は狂ったように泣き出した。


 「畜生!」



 「水が少な過ぎる。くそっ!」



 ときは思わず下を向いた。そして、顔を隠すようにして一目散に駆け出した。
 市バスの停留所まで来た。
 ときは市バスが来るまで、ずっと下を向いていた。



 市バスが来た。
 行き先をチラッと確認すると、ときが慌てて顔を下にして、バスに飛び乗った。
 ときは空席を見つけると、蹲るようにして、下を向いて座っていた。



 その時から、ときが姿を晦ました。





 
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