114歳の美女
 「ときさんがほっとひと息だなんて。先ほどのどすのある啖呵からは、別人ですね」

 智也が意地悪な目をして囁いた。
 

 「好かん蛸。うちかて内心はびくびくもんどしたぇ」
 
 「少し聞いてもいいですか」
 「なんどすか」
 
 「あの啖呵は京都弁なんですか」
 「あれどすか。あれは映画の受け売りどすわ」
 
 「映画?」
 
 智也はときに似合わない言葉に、首を傾げた。


 「レンタルの極道映画を見るのが、うちは大好き。うちの唯一の憂さ晴らしどすわ」


 「極道映画が趣味とは、意外だなあ。僕はときさんは、DVDなんか見ないと思っていました」

 「うちかてDVD位・・・。星田はんは、うちを生きた化石とでも思といやすのか」

 「いいえ、とんでもない。ただ、ときさんの普段の生活が、僕には想像もつかないだけです」


 「うちかて、映画も見ます。デパートにも行きます。洋食だって好きどすぇ」


 ときがムキになって語り出した。





 
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