114歳の美女
 「お母ちゃん、お母・・・」


 ときは末の手を握り締めて激しく泣いた。


 「これが・・・うちの・・・遺言・・・」


 後の言葉は聞き取れない。




 「とき・・・子を生んだら・・・絶対に・・・あかん・・・」




 末は最後の力を振り絞って言葉を出した。

 「なんで、なんで、なんでやの」

 ときが必死に問いただした。



 「お母ちゃんの・・・苦労を・・・お前にだけ・・は・・・」



 それだけ言うと、末は静かに目を閉じた。目のくぼみには、一粒涙の水滴が。

 「お母ちゃん!!」



 「お母ちゃん!」






 「お母ちゃん」



 
 「いやや!」


 「いやや」



 「死んだら、い、や、や、あ・・・」



 ときは泣き崩れた。


 末は癌にも係わらず、安らかな顔をして、眠ったようにあの世に旅立った。

 ときは母親の遺言を、複雑な心境で、心の奥に深く深く刻んだ。







 
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