114歳の美女
 「最高の死に土産やな」

 「びゅーてぃふる」

 「めちゃ可愛い」


 友達や家族、外人観光客が、デジタルカメラで写真を撮り、賞賛の言葉を浴びせている。


 智也はときの舞妓姿が無性に見たくなった。


 ときは『おこぼ』の前を素っ気無く素通りしょうとしていた。

 その時、智也がときの着物の袖を軽く引っ張った。


 「あっ、なんどすか」


 ときが驚いた顔をした。


 「体験をしてみませんか」
 「体験?」

 「舞妓ですよ」
 「うちが、舞妓に」


 「若い頃に憧れていたのでしょう。この際、夢を叶えるというのはどうですか」


 「うちみたいなお婆ちゃんが」


 ときは智也の申出に戸惑った。





 
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