114歳の美女
 「お金は僕が払いますから」


 智也が強引に言った。


 「そないに、言われても・・・」
 「お願い!」


 智也は両手を合わせた。


 「また、どすか」

 「お願い。その代わり、うまい酒をプレゼントしますから」


 「酒で釣るのどすか。薩摩の芋焼酎、黒麹仕込みやったら、釣られて上げてもよろしいで」

 「待ってました。とき奴姐さん。釣られて頂いて・・・おおきにどすえ!」


 智也は思いが叶いはしゃいでいた。

 ときは智也の誘いに乗った。

 舞妓は年少芸子、芸子見習いの修行段階の者を指す言葉。今では、中学校を卒業しないと取れないが、かつては9~12歳でお座敷に上がり修行をしていた。


 (この歳で舞妓に見えるか。果たして、不自然には、ならないか。白粉がしっくりと顔に馴染むのか。舞妓姿は、その人の今を写す鏡。この鏡に、今の自分はどのように映るのか)


 ときは智也の誘いを受ける前から、舞妓姿には興味があった。


 二人は暖簾をくぐり中へ入った。中に入ると、小さな日本庭園が。そこを歩いて玄関へ。

 ロビーで受付を済ませると、ときはメイク室に入って行った。

 智也はロビーで、ときが舞妓姿になるのを待っていた。





 
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