114歳の美女
 「こちらにどうぞ」

 メイクスタッフがときに声を掛けた。
 ときは緊張しながら鏡の前に座った。


 鬢付け油を顔にまんべんに塗り、次に練り白粉を刷毛でむらなく塗る。襟足は2本足。


 「冷たい!」


 ときが思わす小さな声を上げた。

 「ちょっと冷たいですけど、すぐですから・・・」

 メイクスタッフが鏡の中のときに呟いた。
 ときがこっくりと頷いた。


 目じりに厄除けの紅いラインを入れ、眉を描く。アイラインを引き、口に紅をひいたら舞妓メイクが出来上がり。

 ときは半かつらを付け、メイク室の隣の着付け室へ。


 300枚の着物の中から、ときは藍色を基調に桃色の花柄をあしらった着物を選んだ。

 だらりの帯を締め、花簪を付け、おこぼをはき、スタジオで写真を撮影。

 写真撮影が終わると、ときはロビーへ。



 「旦はん、お待ちどう様」



 ときが智也に近付いた。






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