114歳の美女
 「ううわ~」



 智也が感嘆の声を上げた。

 「お婆ちゃんどすやろ。恥ずかしおすわ」

 ときが気恥ずかしそうな仕草をした。

 「全然。100%自信を持って下さい。想像通り。いや想像以上ですから」

 「旦はんはお口がお上手どすな」

 「お世辞じゃないですよ。これは、僕の素直な気持ちです」

 「持ち上げても、何も出まへんぇ」
 「よっ、とき奴姐さん。日本一」


 智也はときを心底、綺麗だと思った。

 (お世辞じゃなく、これは、正直な僕の心の発露なのに。なぜ、信じてくれないのだ。なぜだ!)

 智也は自分の言葉が信じてもらえずに、少し心外だった。



 (白粉が思いのほか、顔に馴染んでいる)



 ときは白粉ののりに気分を良くしていた。そして、舞妓姿にも自信を大いに深めていた。

 二人はこの姿で少しの時間、花見小路通り界隈を散策する事にした。






 
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