かくれんぼ、しよ?
「ゆ、ユウイチ、どういうつもりだ!」
「はあ!?逃げるんだろ!」
「おれの話、聞いてなかったのか!?」
「聞いてたよ!だからなんだっていうんだよ、後にしろ!」
……こいつは、どこまで……バカなんだ!
こうなってしまってはきっと、ユウイチはもう聞く耳を持たない。
とにかく今は口答えせずついて行こうとは思うものの、足の痛みで走れそうにはない。
それに、出口はひとつだけ。そこに向かうには、肉切り包丁を引きずりながらゆっくりとおれたちを追い詰めるカンノさんを、越えなければならない。
「……どうやって逃げるつもりだ?」
カンノさんの言うとおり、逃げ場はない。
ユウイチも、どうしていいかわからないようだが――ふいに、背後からの衝撃音。
振り向くと、そこには――鬼の姿。
鬼が、小屋の壁を壊して、そこに立っていたのだ。
前にも後ろにも、鬼。絶望だ。
「ネエ、見てクレタ?」
……しかし鬼は、突然おれに襲いかかるようなことをせず、話しかけてきた。見てくれた、とは……。
「さっきの……霧島賢司の記憶のことか?」
「ソウ……ダカラね、イイでしょ?チョウダイ!」
その言葉と共に、鬼の手が、おれの方に伸びた。
ダメだ、避けられない……!
つい、目を瞑った――が、何も衝撃は感じない。
恐る恐る目を開くと、そこには――
「待て、サツキ!」
カンノさんが、肉切り包丁を盾にして、鬼の攻撃を防いでいた。