かくれんぼ、しよ?
◇◇◇ユウイチ
「おにいちゃん」
聞こえた声の主を探そうと辺りを見回したが――誰かがいるような気配はない。
聞き間違いか?……それにしては、やけにはっきりと言葉が聞き取れた。
ユミ、なのだろうか……やはり、ユミはいるのだろうか。
しかし、去年、ユミはたしかに――
「ねえ、こっちだよ」
考えかけた意識は、再び少女の声が聞こえて遮られた。
今度は、どこにいるのかわかるほど、近くで聞こえた。
振り返ると、そこには、ユミ――ではない、幼い少女が立っている。小学四年生だったユミと同じくらいの年に見える。
「あそこ、見てくれた?」
「……え、なんのことだ?」
少女は自分の後ろの方――おれが歩いてきた方を指差している。
何かあったか……?あのゾンビみたいなやつのことか?けど、あそこって、どこか場所のことだよな?
記憶から引きずり出そうとするが、特に変わった場所があったわけでもなく、心当たりはない。
むしろ、注連縄をくぐったら来てしまった、この場所自体、すべて変わった場所だと思うけど。
「そっか……見てないの……」
少女は、悲しそうに俯いた。
「ご、ごめんな。おれ、なんだかわからないうちにここに来ちゃって……」
悪いことをしたわけじゃないが、そんな顔をされると慌ててしまう。
「そうだよね……あのね、わたし、ミヅキっていうの」
「そっか、ミヅキか。おれはユウイチ。よろしくな」
背丈も、髪の長さも、まるでユミみたいで、つい頭をぽんと撫でた。
するとミヅキは、恥ずかしそうに、けれど嬉しそうに、小さく笑った。
しかし、すぐにまた、俯き気味に悲しげな表情を浮べる。
「あのね、この村、気をつけてほしいことがあるの」
ぼそりと、小さな声でミヅキは言った。