かくれんぼ、しよ?
そう言うと、男は白衣を翻し、足早に歩いっていってしまった。
「ちょっと、待ってくれよ!」
慌てて追いかける。
「あんまり、大声を出すなよ」
男はその言葉と共にこちらへ振り返り――棍棒を、おれの頭の高さで、振りかぶった。
「え……」
理解する間もなく、おれの頭に棍棒が振り下ろされようとして、思わず目をつぶる。
――ぐちゃりと、いやな音が耳元で聞こえた。
「まったく、うっとうしい」
恐る恐る目を開くと、おれの背後に、頭の潰れた死体が転がっていた。
「な――」
呆気にとられて、言葉が出ない。
そうしているうちに、男は死体をすり潰すように棍棒で叩いている。
男が手を動かすたびに、不快な音が聞こえる。
……死体は、この村に来てすぐ出会った、あのゾンビのようなヤツに見える。
こんな風に殺すなんて――ゾンビだったのか、やっぱり。
しかし、そうやって冷静に考えようと、目の前の光景を見るたびに、吐き気が襲ってくる。
「……なにも、そんなに、しなくても……」
もう限界だ。目を逸らしながら、やっとの思いで呟いた。
「文句があるなら、そこでこいつらに殺されてろ」
男は、死体を叩くのをやめると、再びスタスタと歩き出す。
……なんなんだよ、この人。
文句はあるが、男の言うとおりに、殺されるわけにもいかない。
頼る相手も他にいないし、黙ってついていくしかなかった。
「今のヤツ、なんなんだ?」
「おまえの質問は後で聞く……が、おれの質問には答えてもらおう」
――なんだ、それ。人格に問題があるな、この人。
男は、ピタリと立ち止まった。
「ミヅキと、会ったな?」
前を向いたまま、おれに訊ねる。
「ああ、会ったけど……」
「何か言ってたか」
「んー、遊ぼうって言われて、遊んだ。あと、鬼には気をつけろって」
「……そうか」
何を考えているのかわからなければ、顔が見えないので、表情からも読み取れない。
――それ以上は特に話さず、ただ黙って、男の後ろについて歩いた。