かくれんぼ、しよ?
「『一つ目の鐘が鳴ったら、家に帰りなさい。二つ目の鐘が鳴る前に。鬼がやってきて、食べられてしまうから』……聞いたことあるな?」
頷いた。たしかミヅキも、同じことを言っていた。それに、元々そんな噂があるのはミクもマコトも知っているはずだ。
「村の伝承のようなもんだ。元はどうだか知らないが、今は現に、『鬼』が出る」
「おに……」
ミクが、不安げに呟いた。コロのことを抱いている手は、小さく震えている。
「鬼って、なんなんだ?」
「そうだな……マコトが注連縄をくぐる前に見た、バケモノとやら。それが鬼だろうな」
知っているんだか、知らないんだか――カンノは曖昧な物言いだ。
マコトの見たバケモノがどんなものか想像できないが、マコトの嫌悪感に満ちた表情を見れば、その怖さはよくわかる。
「さっきの、ゾンビとは違うんだな?」
「ゾンビ……か。そうだな。あれは死人が動いてるようだな。気をつけろ」
なるほど……と、納得するにはあまりに信じがたい話だが、実際見ている以上、信じざるを得ない。
「それと、鬼が来るのは、二つ目の鐘が鳴った瞬間だ。それも毎回来るわけじゃない」
「……つまり、今はもう大丈夫ってことですね?」
マコトが聞くと、カンノは頷きながら――にやりと口角をあげた。
「大丈夫だから、いい加減に鍋を頭から下ろしたらどうだ?」
カンノの、馬鹿にしたような笑みがミクとマコトに向いている。
二人とも、恥ずかしそうに鍋を頭から下ろした。
「こ、これは、二つ目の鐘も鳴ったし……ゾンビが来たらどうしようと思って備えてたんです!ね、マコトくん!」
「そうです……」
気持ちはわかるけど、他に何かなかったのか……。
なんだかおれまで恥ずかしい。