かくれんぼ、しよ?
「ま、とにかく、鐘が鳴ったら気をつけろってことだ。ここで大人しくしてるのが懸命だな」
「……大人しくって言っても、おれたちはこの村から出たいんですけど」
マコトが言った。全く、反論の余地なくその通りだけど……
「そんな方法がわかってるなら、とっくにおれはここから出てるさ」
やっぱり、そうだよな。
カンノはけっこう前からここにいるみたいだから。
……そもそも、村を出る方法なんて存在するのだろうか。
不安が顔に翳りを落とす。
ミクもマコトも同じ気持ちのようで、その表情は暗く、どこか思いつめているみたいだ。
「考えても仕方ないしさ、明るくなったら帰り道を探せばいいだろ。な?」
できるだけ、明るく言ってみた。
「ユウイチくん……うん、そうだよね!」
「たしかに、それしかないよな」
少しだけ、二人の表情が緩んだ。
「あー、ちょっと悪いが」
少しだけ前向きになったところを遮るように、カンノが言った。
「なんですか?」
「この村は、どうやら時間の流れが狂っていてな。常に暗いし、鐘もいつ鳴るかわからない。よくて、『薄暗い』程度だからな。明るければ大丈夫なんて、あんまり期待しないでおけ」
「マジかよ……」
……落胆。
今だって、四人と一匹でいても、ろうそくの灯りだけで心細いのに。
地理もわからない上に、常に暗いなんて。
弱音を吐きたくもなるが――ミクとマコトの手前、そんなことも言っていられない。
「だ、大丈夫だって!なんとかなる!」
「……ああ、そうだな」
「わ、わたしもがんばるよ!」
引きつった笑顔で、頼りがいのない気合いを入れた。
「……好きにすればいいがな。今日は疲れたろ、勝手に休んでくれ。ここは好きに使っていいからな」
「え、いいんですか!助けてくれたり、色々ありがとうございます!」
「すみません、ありがとうございます」
「ありがとう――ございます」
正直おれは、カンノは結局よくわからないやつだと思ったけど、案外いいやつなのかもしれない。
助けてもらっておいてこんな風に言うのもおかしいけど。
カンノの言葉に甘えて、休むことにした。
マコトは枕元にリュックを下ろし、ミクはコロと一緒に布団に入る。
ミクとマコトから、吉越さんに会ったことを聞いた。それに――流行病のことも。
この村はおかしい――帰れなかったらどうしようかと、また少しだけ不安になりながら、眠りについた。