かくれんぼ、しよ?





「ま、とにかく、鐘が鳴ったら気をつけろってことだ。ここで大人しくしてるのが懸命だな」


「……大人しくって言っても、おれたちはこの村から出たいんですけど」


マコトが言った。全く、反論の余地なくその通りだけど……


「そんな方法がわかってるなら、とっくにおれはここから出てるさ」


やっぱり、そうだよな。


カンノはけっこう前からここにいるみたいだから。



……そもそも、村を出る方法なんて存在するのだろうか。


不安が顔に翳りを落とす。


ミクもマコトも同じ気持ちのようで、その表情は暗く、どこか思いつめているみたいだ。



「考えても仕方ないしさ、明るくなったら帰り道を探せばいいだろ。な?」


できるだけ、明るく言ってみた。


「ユウイチくん……うん、そうだよね!」


「たしかに、それしかないよな」


少しだけ、二人の表情が緩んだ。





「あー、ちょっと悪いが」


少しだけ前向きになったところを遮るように、カンノが言った。


「なんですか?」


「この村は、どうやら時間の流れが狂っていてな。常に暗いし、鐘もいつ鳴るかわからない。よくて、『薄暗い』程度だからな。明るければ大丈夫なんて、あんまり期待しないでおけ」


「マジかよ……」



……落胆。


今だって、四人と一匹でいても、ろうそくの灯りだけで心細いのに。


地理もわからない上に、常に暗いなんて。


弱音を吐きたくもなるが――ミクとマコトの手前、そんなことも言っていられない。



「だ、大丈夫だって!なんとかなる!」


「……ああ、そうだな」


「わ、わたしもがんばるよ!」


引きつった笑顔で、頼りがいのない気合いを入れた。



「……好きにすればいいがな。今日は疲れたろ、勝手に休んでくれ。ここは好きに使っていいからな」


「え、いいんですか!助けてくれたり、色々ありがとうございます!」


「すみません、ありがとうございます」


「ありがとう――ございます」


正直おれは、カンノは結局よくわからないやつだと思ったけど、案外いいやつなのかもしれない。


助けてもらっておいてこんな風に言うのもおかしいけど。


カンノの言葉に甘えて、休むことにした。


マコトは枕元にリュックを下ろし、ミクはコロと一緒に布団に入る。


ミクとマコトから、吉越さんに会ったことを聞いた。それに――流行病のことも。


この村はおかしい――帰れなかったらどうしようかと、また少しだけ不安になりながら、眠りについた。




< 48 / 127 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop