かくれんぼ、しよ?
「……あれ?」
マコトが、手を止めた。
「どした、食べ物持ってなかったか?」
「あ、いや、何でもない……持ってたよ。はい」
「そっか?ありがとな」
何だったんだろうか。わからないが、差し出された缶詰を受け取った。丁寧に、割り箸まで。
「ありがと、マコトくん!」
決しておいしいものではないが、ありがたい。みんな、パンをちぎって、コロにも与えた。
コロはしっぽを振っている。……気楽でいいよなあ、なんて思ってしまう。
「で、どうする?」
「うーん、カンノさんに聞いてみない?」
「カンノさんもこの村から出る方法は知らないみたいだし……多分、大人しくしてろって言われるんじゃないか?」
「だよなー、やっぱ探しに行くか。おれたちで」
「それしか、ないかなあ……」
「そうだな、そうするか……」
二人とも乗り気じゃないのがひしひしと伝わってくるが、仕方ない。
三人とも、ここを出る支度を始めた。
カンノに対した礼も言わず出ていくのは、少し申し訳ないと思うが、カンノに会ったらきっと止められる。
カンノがいないうちに出ていくことにする。
ミクが、その辺にあったメモ用紙にお礼の言葉を残しておいたから、これで許してもらおう。
「そういえば、ユウイチ、小さい女の子と一緒にいなかったか?」
マコトが、缶詰のごみを片付けながら言った。
「ああ、いたな。ミヅキっていう子」
「それって、ユウイチくん、その子をユミちゃんと見間違えたとか?」
「あー……どうだろうな。たしかに、歳は同じくらいかも。でも、なんか変わった子でさ」
「変わった子?」
「ああ、テンション低かったり、高かったりして。なんか、突然いなくなるし。なんなんだろうな、あの子――」
そこまで、行った時だった。
「ミヅキはおれの娘だ」
「うわあ!」
部屋の出口から、カンノが顔を覗かせた。
……心臓に悪い。ゾンビかと思った。
「娘、なのか?カンノさん、若いな」
カンノは二十代後半くらいに見える。ミヅキは十歳程度だろうから、おれと同じくらいの時に出来た子どもなのか。
「ああ、見つけたら連れてきてくれ。出かけるんだろ?大人しくしてろと言ったはずだがな」
「そ、それは……やっぱ、元のところに帰りたいし、自分たちで方法を探そうかと」
「まあ、いいさ。拠点はここを使っていい。遅くとも鐘が鳴ったら帰れよ。気をつけてな。……特に、キリシマ」
「わ、わたしですか?」
「ああ。……なんとなくだが、おまえが一番危なっかしい」
普通であれば一日も経っていないのに、ミクの危なかっしさに気付くとは。……たしかにミクは、それくらい危なっかしい。
「じゃ、色々、ありがとうございました」
「またお世話になるかもしれませんが」
「カンノさんも気をつけてください!」
意外にも、カンノはすんなり送り出してくれた。
おれたちは、カンノの家を後にした。