かくれんぼ、しよ?
「ぷは、く、苦しかった……!」
「あ、ごめんごめん」
ミクの口を塞いだ手には思ったより力が入ってしまっていたようで、ミクはぜえぜえと不足していた酸素を補給している。
「目が悪いのかもしれないな……音をたてなければ大丈夫そうだ」
確かに、マコトの言うとおりかもしれない。
ゾンビの目はひどく窪んでいて、まともな視力があるようには思えない。
「けど、困ったね……あんな風にあっちこっちにゾンビがいたら、探すのも難しいよ」
ミクがため息混じりに言うと、コロは共感したように頼りなく鳴いた。
しかし――
「あのさ、あれ――」
おれが指差した方にあるもの。
「あれって、学校か?」
他の平屋建てとは違う、三階建ての大きな建物。それは、比べると規模は小さいが、おれの知る小学校のかたちによく似ていた。
「やったね!行ってみよ!」
とりあえず、最初の目標は果たせそうだ。
はしゃぐミクを先頭に、建物に向かった。
近付いてみると、こちらは建物の裏側だったことがわかった。
建物を挟んで反対側には、グラウンドが広がっている。
「やっぱ、学校だな」
表側に回ると、玄関の庇の上には校章を模したオブジェが取り付けられていた。
「開くかな?」
両引き扉の片側の引手に手をかけ、横に引いた。
建てつけが悪いようで、扉はなかなか動かない。
「マコト、そっち。……せーの!」
反対側をマコトが、おれと同時に扉を引いた。
「う、うわ!」
……どうやら、扉に何か引っかかっていただけだったらしい。
その引っかかりを過ぎた途端、扉は勢いよく開き、それを力いっぱい引いていたおれは、思いっきり尻もちをついた。
……かっこ悪い。
「……大丈夫か」
マコトが差し出した手を掴み、立ち上がった。
「よ、よし、開いたことだし、行くか」
ミクがくすくす笑っている気がしたが――気を取り直して、校舎に足を踏み入れた。