かくれんぼ、しよ?
外を照らしている微かな明かりが太陽の日差しか、月明かりなのかわからないが――それがないぶん、校内は外よりも暗かった。
ゾンビのことを考えるとなるべく音を立てたくはない。
しかし、歩くたびに床はぎしりと不気味な音を立てる。
「カンノの家といい、建て直せよ……」
きっとこの村は、どこもかしこも、こんな感じなんだろう。
廊下の左右には、子どもたちの描いた絵画や習字が飾られている。
その拙さから、おそらく、ここは小学校だと思う。
「カンノさん以外には、人いないのかなー?」
「いや、ミヅキがいたって」
「ああ、あの女の子か。あの子もここに通ってたのかな」
「さあな」
廊下の壁に並ぶ作品――しばらくそれに書かれた名前に注目して歩いてみたが、ミヅキの名前はない。
そもそも学年だってわからないし、特に気に留めなかった。
「おい、これ」
一つの、貼り紙に目が止まった。
ミクとマコトも、それを見る。
そこに書かれていた言葉――それは、ミヅキとカンノの口から聞いたものと同じだった。
『一つ目の鐘が鳴ったら、家に帰りなさい。二つ目の鐘が鳴る前に。鬼がやってきて、食べられてしまうから』
その文章の横には、生徒が描いたと思われる、鬼とそれに食べられている人が描かれている。悪趣味にも、ご丁寧に血液まで。
「有名な話だったんだな」
「鬼って、マコトくんは見たんだよね?」
そういえば、そう言っていた。バケモノを見たと。カンノいわくそれこそが鬼だと。
「そうだけど……今、この村は明らかにおかしくなってるから、あんなバケモノがいても、まあ、わかるんだけど。村が正常だったときにあんなのがいたとは、思えないな」
「でもそれじゃあ――この噂は、どうして広まったんだろうな?」
やっぱり、おれがこの村に来る前まで思っていた通り、暗くなる前に子どもを家に帰すためとかではないのだろうか。
「あ、ねえねえ、これ見て」
ミクが、貼り紙の隅に小さくただし書きがされているのを見つけた。