かくれんぼ、しよ?





グラウンドを越え、林の中。膝丈くらいまでの草が茂っていて、それをガサガサとかき分けながら進む。


セーラー服姿のミクは脚に直接草が当たるようだ。それに加え羽虫のようなものもたくさん飛んでいて――ミクの心境を察するまでもなく、不快感は顔に表れている。


コロは歩かせると頭まで草に埋もれてしまうので、リードを外し、ミクが腕に抱くことにした。



「あの地図だと、こっちの方だよな?」


「そうだけど、大分簡略化されてたからな……距離だって離れてるかもしれない」



やぐらなんて普通にあったら遠くからでも気付きそうだが、この林は木々が揃いも揃って天までまっすぐ伸びている。


遠くからでは、見えそうにない。



「困ったねー……ん?どした、コロちゃん」


突然、コロがせわしなく辺りを見回し始めた。


そして、ある方向――おれたちが向かおうとした方とは少しずれた方を見て、吠えた。


「なんだ?てか、あんまり吠えるなよ!」


「あっちに何かあるのか?」



コロは、ミクの腕の中でもがき、今にも飛び出していってしまいそうだ。


「わ、わかったわかった、あっち行こーね!だからちょっと静かにして?」


仕方なく、コロが行きたがる方へ進んでみることにした。





少しの間歩き、やがて――


「あ、あれだ!」


開けた場所に、やぐらが立っていた。



思わず、息を飲んだ。


不気味であることに変わりはないが――どこか神聖なもののようにも見える。


周囲は、異様な雰囲気に包まれていた。




< 55 / 127 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop