かくれんぼ、しよ?
グラウンドを越え、林の中。膝丈くらいまでの草が茂っていて、それをガサガサとかき分けながら進む。
セーラー服姿のミクは脚に直接草が当たるようだ。それに加え羽虫のようなものもたくさん飛んでいて――ミクの心境を察するまでもなく、不快感は顔に表れている。
コロは歩かせると頭まで草に埋もれてしまうので、リードを外し、ミクが腕に抱くことにした。
「あの地図だと、こっちの方だよな?」
「そうだけど、大分簡略化されてたからな……距離だって離れてるかもしれない」
やぐらなんて普通にあったら遠くからでも気付きそうだが、この林は木々が揃いも揃って天までまっすぐ伸びている。
遠くからでは、見えそうにない。
「困ったねー……ん?どした、コロちゃん」
突然、コロがせわしなく辺りを見回し始めた。
そして、ある方向――おれたちが向かおうとした方とは少しずれた方を見て、吠えた。
「なんだ?てか、あんまり吠えるなよ!」
「あっちに何かあるのか?」
コロは、ミクの腕の中でもがき、今にも飛び出していってしまいそうだ。
「わ、わかったわかった、あっち行こーね!だからちょっと静かにして?」
仕方なく、コロが行きたがる方へ進んでみることにした。
少しの間歩き、やがて――
「あ、あれだ!」
開けた場所に、やぐらが立っていた。
思わず、息を飲んだ。
不気味であることに変わりはないが――どこか神聖なもののようにも見える。
周囲は、異様な雰囲気に包まれていた。