かくれんぼ、しよ?
梯子は例に漏れず、建てつけが悪い。
いつ倒れるかわからない。用心しながら、一段一段ゆっくりと、上りきった。
改めて、鐘と対面する。
間近で見る鐘は、よりいっそう――不気味で、神聖で、妖艶だった。
刻まれた模様も、月日を感じさせる傷も、美しくさえ見える。
こんなものを人が作り出せるのか、なんて、疑うほどに。
ふいに、吸い込まれるように、鐘に触れようとした――その時だった。
「ねえ」
鐘の陰から、ミヅキが姿を現した。
「ミヅキ!何してるんだ、こんなところで……カンノ――あー、お父さんが探してたぞ」
ミヅキはどこか伏し目がちに、小さく口を開いた。
「おにいちゃんは、ミヅキのこと、すき?」
「え?」
突然、何を言い出すかと思えば。
「ミヅキのこと、大切にしてくれる?」
「するよ」
どういうつもりか知らないけど、ユミに似ているミヅキのことを放っておくなんてできない。
「そっかぁ」
ミヅキは、笑った。
前のような不気味さを孕んだ笑みではなく、それは、どこまでも純粋に見えた。
「じゃあね、教えてあげる」
「え……」
瞬間。
おれの視界が――いや、意識が。
暗転した。
闇の向こうに、一筋の、光が見えた。