かくれんぼ、しよ?
「え……」
どういうこと?なんで、鐘が鳴ってるの?
人が鳴らしてるんじゃなかったの?
なんで、鐘が、ひとりでに動いているの?
女の子がやったわけじゃ、なさそう。あんなに小さい体でできるわけもない。
「マコトくん……」
マコトくんを見ると、わたしと同じように状況が理解できていないようだった。
「なんで、鐘が……ミク、カンノさんのところに帰らないと……」
「でも、ユウイチくんが!」
「待て!」
ユウイチくんの方へ行こうと足を踏み出したら、マコトくんに強く肩を掴まれた。
「なんで止めるの!早くユウイチくん連れて帰ろうよ!」
「ダメだ……あいつが……あいつがいる!」
マコトくんは依然としてユウイチくんの方を見据え――しかし、その瞳には恐怖の色がちらついている。
「なに?何も見えないよ?」
あいつって、なに?
視線の先には、ユウイチくんと女の子しか、いない。
しかし、マコトくんの視線は――それ以外にも、何かを捉えているようだった。
「く、来る!逃げるぞ!」
思いっきり腕を引っ張られたが、その場に踏みとどまった。
「何が来るの!?それにユウイチくんは!?」
「見えないのか!?鬼だよ!ほら!こっちに向かってきてるだろ!」
そう言われても――何かが向かっている様子はない。
「とにかく!逃げないと!こっちに来てるからユウイチは大丈夫だ!」
再び腕を引かれ、ついマコトくんに合わせて走り出してしまった。
「ほんとに、ユウイチくんは大丈夫なんだよね?」
「ああ、それより、自分の心配をしないと……なんで、ミクは見えないんだ……!」
「わかんないよ……」
来た道を引き返すようにひたすら走り、林を抜けた。