かくれんぼ、しよ?
「な、んで鬼が……来るのは二度目の鐘が鳴った瞬間じゃなかったのか……!」
少し立ち止まって、息を整える。
マコトくんは林の方へ振り返ったけど慌てる様子はないから、鬼は来ていないんだろう。
「ほんとに鬼だったの?わたし、何も見えなかったよ」
「ああ、間違いない……」
「鬼、もう追いかけてきてない?」
「多分……でも、一度カンノさんのところに帰った方が――」
マコトくんが言いかけた、その時。
――地面が唸るような音を上げて、大きく揺れた。
「わ、地震!?」
立っていられず、しゃがんだ。
こんなに大きい地震は経験したことがない。古びている小学校なんて、今にも崩れてしまうんじゃないかと思う。
「なんなんだ!くそっ」
少しの間揺れて――やがて、徐々に収まってきた。
……そうだ、ユウイチくんは。
やぐらの上なんて、危ない。あんなに揺れたのだから、やぐらごと倒れてしまったかもしれない。
「マコトくん、今の地震……ユウイチくんが危ないよ!やぐらの上にいるんだよ?」
「いや……ダメだ、来てる!」
林を見据えるマコトくんの瞳に、再び恐怖の色。
そんな……ユウイチくんを放っていくなんて。
「ダメだよ、できないよ!わたし一人でユウイチくんのところに行ってくる!」
「無理に決まってる!ミクには鬼が見えないんだろ!?危険だ!……どうしても行くって言っても、引きずってでも行かせない!」
「なんで、そんな……」
どうして、そんなことを言うのだろう。
……いや、わかってる。わたしのことを心配して、守ろうとしてくれてるんだよね。
でもわたしは、ユウイチくんも一緒に助かりたいよ、マコトくん。
わたしの目に涙が浮かんだのに気付いたのか、マコトくんはバツの悪そうな顔をした。
「――ごめん、でも、ユウイチは、きっと大丈夫だから……とにかく、鬼が来てる!早く行こう!」
マコトくんに言われるまま、共に走り出した。
――ユウイチくんを見捨てるわけじゃない。
カンノさんを連れて、助けに来る。
だから、わたしは今は……鬼から逃げる。