かくれんぼ、しよ?
あれは――
「……カンノさん?」
身丈といい、白衣といい、間違いなく、カンノさんだ。
机の横から、身を乗り出した。
「おまえ……マコトか」
カンノさんは、こちらへ向かってきた――が、近付いてみるとわかる、その異様な身なりに、思わず悲鳴をあげそうになった。
「そっ、それ、一体……!」
カンノさんの白衣は――白衣という名には相応しくない、真っ赤に染まった部分が大半を占めていた。
それに加え、顔や手も赤く染まっている。手にはこん棒を持っているし……それはさながら――ホラー映画の殺人鬼のようだ。
おれが初めて会ったときも、白衣は血で汚れていたけど、ゾンビでも倒したんだろうと思い、さして気には止めなかった。
しかし、今のカンノさんは――ゾンビを倒したとして、あまりに、度が過ぎているように思える。
「……ああ、気にするな。ゾンビの血だ」
気にするなと、言われても……そんな血まみれの格好を気にせず接することができる人間などいるだろうか。
「それより、困ったことがあるんだが――どうも、村の様子がおかしくてな」
「ど、どうかしたんですか?」
そうは言ったが、地震といい、二度目の鐘の前に鬼が現れたことといい、カンノさんからは聞いていないことが起こっているのはおれにもわかっている。
「あー……例えば、地震とかな。それでちょっと、おまえに来て欲しいんだが」
……何か、違和感を覚えた。
一瞬、カンノさんの瞳に、ひどく冷酷な色が見えたように思える。
「……どこに、ですか?」
ぶっきらぼうではあったが、助けてくれたし、いい人なんだ――そう思っていたが、その思い込みが、崩れていく。
……思えば、あの失くし物だって、カンノさんが盗ったとしか考えられないじゃないか。
「なんだ、疑ってるのか?」
まずい――顔に出ていたか。
「い、いえ、そんなことないです」
カンノさんが、徐々におれとの距離を詰めてくる。
机の脚を掴みながら、なんとか立ち上がった。
「……その、足」
逃げられる体勢になろうと思ったが、逆効果だった。足を痛めているのが、バレてしまったようだ。
「だっ大丈夫です!だから、そんなに近付かなくても――」
――ガシャン!
おれの言葉を遮るような音が、部屋に鳴り響いた。