かくれんぼ、しよ?
場面は変わり――とある教室。
ミクは、もがいていた。
「もー!おーもーいー!」
一階に落ち、キャビネットの下敷きになってしまったのだ。
そこまでの重さはないものの、瓦礫がうまく挟まり、なかなか抜け出せない。
傍らでは、コロが心配そうに寄り添っていた。
「コロちゃん、大丈夫だよ……ちょっと待っててね!」
そうは言ったものの、いくら押してもキャビネットはびくともしない。
時折ため息をつきながら、ミクはもがき続けていた。
――ふと、ミクは動きを止めた。
低い唸り声のような音が、鼓膜を刺激したのだ。
コロに、人差し指を立てて見せる。
ミシ、ミシ――瓦礫を踏みしめる音。
体をひねり、そちらを見ると――さまよい歩く、ゾンビの姿があった。
ミクには気付いていないが、ゾンビの歩みは着実にミクの方へ向かっている。
どうしよう……!
ミクは焦るが、音を立てられない。
やがてゾンビが距離にして三メートルというところまで近付いた時――
コロが、任せろとでも言いたげにミクの体にお手をした後、駆け出した。
やがて少し離れたところで、吠え始める。
ゾンビは、コロに気付いて、進路をそちらへと変えた。
コロちゃん!危ないよ!
声に出すことのできない叫び声。
コロはゾンビを引き連れて、ミクの見えないところへ行ってしまった。
その隙に、なんとか抜け出そうと、ミクは再びもがく。
「もう……!」
やけになって、思い切りよくキャビネットを蹴飛ばすように足を動かした。
すると――キャビネットはずれ、ミクは抜け出すことができた。
「やっ、たあ!」
一息つこうとするのもつかの間――ミクが抜け出したせいで、瓦礫が音を立てて崩れ始めた。
「わあ!」
咄嗟に身を翻し、瓦礫を避ける。
間一髪、ミクは教室から逃げ出した。