かくれんぼ、しよ?





「その足、どうしたの?」


「ああ、ちょっと怪我した……」


ミクはしゃがみ込み、マコトの、足を引きずっている方の裾を、捲りあげた。



「だ、大丈夫!?じゃ、ないよね!ど、どうしよー!保健室!保健室探そ!」


湿布が貼ってあるものの、隠しきれていないアザはあまりに痛々しい。


「大丈夫、だよ……それよりミクは?怪我してないか?」


「わたしは大丈夫!マコトくんのは、大丈夫じゃないよ……歩くのだって、辛いでしょ?」


こんな状況だから当たり前といえばそうなのだが、元気をなくしたマコトの様子が、ミクはとても気になった。



「大丈夫……だから、静かに」


マコトが、ミクの口に手を押し当てた。


ミクは、マコトの目線を追う。そこには、手洗い台、の上の鏡――に映った、ゾンビの群れ。


瓦礫の隙間を縫って、複数のゾンビがこちらへ向かってきている。



「ど、どうしよ……」


小声でミクが言った。


つい、マコトの足へと目をやる。



この足では――逃げられない。



「マコトくん、こっち!」


ミクは、マコトの手を引き、すぐ側にあった『倉庫』と書かれた部屋に入った。


中は、一般的な教室の三分の一程度の広さだが――あまり崩れた様子はない。


扉に鍵をかけ、安堵してその場にへたり込んだ。



「とりあえず、安心だね!」


ミクは笑いかけるが、マコトは壁際にもたれかかって座ったまま、「そうだな」と小さく笑いかけるだけ。


心配になり、マコトに近付こうと、ミクが扉の前から立った時――



すさまじい音が、振動と共に部屋に響いてきた。


それはまるで、何かが崩れたようで――ミクとマコトは、嫌な予感がし、顔を見合わせる。



ミクが扉の鍵を開け、扉を開こうとしたが――


「開かない!」


「そんな、嘘だろ……」


廊下で何かが崩れたせいで、扉が歪んでしまったのだ。


押しても引いても、びくともしない。




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