かくれんぼ、しよ?
――ああ、マコトくんが何か言ってる。
ミクの脳は、麻痺したように動かない。
思ったように、言葉が出ない。
――マコトくんも、そういうことするの?わたしのこと、傷つけるの?
ミクの虚ろな瞳に映る、セーラー服を捲るマコト。
――やめてよ。見ないでよ。
「……見ないで……!」
やっと言葉になったのは、その一言だけだった。
――ずっと隠してたのに。どうして見つかっちゃうの。
――わたしは、明るくて、正義の味方の、普通の子。そんな傷跡なんか、ついてない。
――だから、お願い。見ないで……!
――わたしは、そんなの痛くなんかないから。そんな弱音、誰にも言わないから。
「……父親か?」
マコトが言い放った一言に、ミクの思考が止まった。
「な、に……言ってるのマコトくん……わたしのお父さんは、ひどいこと……しないよ」
動揺で、口がうまく回らない。
「……ミクは、おれが気付いてないと思ってたのかもしれないけど。知ってたよ、いつも無理してたのは」
やめて、やめて、やめて。
「嫌われたくなくて、明るく振る舞って、頼まれたことを断われないのも。父親が、外でいい顔して、ミクに冷たかったことも」
やめて、やめて、わたしはそんな子じゃない。お父さんは、冷たくなんかない。
「足……自分で切ったんだろ?腹は、父親に殴られてたんだろ?どっちも、わざわざ他人から見えない場所に……」
「――やめて!!!」
渾身の力で、ミクはマコトを突き飛ばした。
気を抜いていたマコトは、壁へと背中を打つ。
「いって……」
「あ……」
――マコトくんを、傷つけてしまった……手が、震えて止まらない。
「ミク、もう、強がらなくていいから……本当のことを教えてくれ」
マコトの真剣な眼差しに、ミクは、目を逸らせない。
――いや、やめて。わたしのことを見ないで。わたしは自傷なんかしない。お父さんは虐待なんかしない。
――こっちを見ないで。もうやだ、逃げたい……!