かくれんぼ、しよ?
ミクが、涙を拭った時。
廊下からガラガラと、瓦礫の崩れる音。
やがて――音が止んだかと思ったら、扉が、ミクとマコトの方へ吹き飛んできた。
「……お取り込み中、悪いな」
そう言い放った人物に、マコトは目を丸くする。
「どうして……!」
カンノが、冷たい笑みを浮かべて二人を見下ろすように立っていた。
「ようクズ野郎、さっきはよくもやってくれたな。この様子じゃ、キリシマにも何かやらかしてるのか?」
マコトは、頭で状況を整理する。カンノの目には――服が捲くれ下着があらわになっていて、泣いているミク。
どう考えても、『その通り』……否定はできない。
「おいキリシマ、言ったはずだ」
「……はい……?」
「やったら、やり返せとな」
「でも……」
ミクは、目を伏せる。
そんな様子に、カンノはため息混じりに言った。
「さっさと逃げろ、こいつはおれが引き受ける」
「なっ……何言って――!」
マコトが言うより早く、ミクは頷いて立ち上がった。
「ミク!」
マコトの呼び声は虚しく響き、ミクの心には届かない。
ミクは、カンノが扉を壊して開いた壁の間から出ていってしまった。
「さあ残念、キリシマはおまえなんか嫌いみたいだな。色々聞きたいことはあるんだが――」
カンノは、マコトにゆっくりと近付いていく。
マコトは今にも逃げ出したいが――足と背中の痛みで、座ったまま後ずさりをするので精いっぱいだった。
「招待してから、ゆっくり話そう」
「なに、を――」
マコトの言葉は、言い切る前に詰まってしまった。それは、カンノの手によって。
マコトの意識は、遠のいていく――。
カンノに頸動脈を圧迫され、マコトは気を失った。
「……今度こそ、鐘が鳴るといいんだが」
カンノはマコトを担ぎ上げ、部屋を出ていく。
部屋には、マコトのメガネだけが、レンズが割れて残されていた――。