かくれんぼ、しよ?
「あんま、見ない方がいい……それより、ちょっと手見せてくれ。解くから」
「そ、そうだな、悪い」
マコトの手を取り、縄に手をかけた――が、かなり固く結ばれていて、ちょっとやそっとじゃ解けそうにない。
「ダメだ、手じゃ取れない。何かないか?」
「おれのリュックがあればナイフが入ってるけど……」
辺りを見回すと、少し離れているところにマコトのリュックを見つけた。
中を見ると、マコトの言うとおり、小型のナイフがある。
「よし、切るぞ」
縄にナイフを当てた、その時だった。
何やら衝撃音が聞こえて、咄嗟に背後に振り向いた。
そしておれは――目を疑った。
「ユミ……!」
一年前、おれが最後に見た姿そのままで、ユミが立っていた。
やはり、見間違いじゃなかった。
夕霧山で見たのは、ミヅキじゃなくて、ユミで正しかったのだ。
つい、ナイフを置いて、ユミに歩み寄ろうと立ち上がった。
「ユウイチ!何してるんだ!?」
マコトの叫びが、耳をつんざく。
「何って……そこに、ユミが――」
「な、何言ってる!?そこにいるのは鬼だろ!?早く縄を解いてくれ!」
……鬼?マコトこそ、何を言っているんだ。
そこにいるのは、どう見たって、ユミだ。
「お兄ちゃん」
ほら、ユミじゃないか。何も変わっていない――あの時のままの。
おれは、マコトの言葉を無視して、一歩、また一歩と、ユミに近付いた。
「ユミ……」
抱きしめようと、両手を伸ばした時――
「ねえ、見て?」
ユミは、不気味な笑顔――おれに初めて見せる表情を浮かべた。
次の瞬間、おれの意識は、闇の中に落ちていった。
……ああ、これは、鐘の前で、経験したものと同じだ――
闇を超えて、また、光を見つけた。