かくれんぼ、しよ?
「先生、ありがとうございました……!本当に、治ってよかった……」
ここは、二度ほど見た、部屋の中だ。
目の前で、女性が子どもの頭を撫でながら、こちらに向かって礼を言っている。
「いえ、お大事に」
「それにしても――」
女性と子どもを見送ると、背後から声がした。
振り向くと、あのムカつくじいさんの姿があった。
「あれだけ探しても治療法が見つからなかったのに、よく治せたもんだ。どうやったんだ?」
「……いい薬を、見つけました」
なんだ、流行病の治療法は見つかっていたのか?……だったら、どうして村は滅びたんだろうか。
「そうか、それは結構!これからも精進してくれ、頼りにしてるぞ!」
嬉々とした顔で、エラそーに言った。やっぱりムカつく。掌返しもいいところだ。
「はい、多くの人に治療を施せるように――薬を用意します」
「ぜひとも、そうしてくれ」
ご機嫌で部屋を出ていくじいさんを見送ると、ケンジは自分の手のひらを見つめる。
「今日も、クスリを獲らなければ……」
呟いて、空を握りしめた。
――薬を『とる』?妙な言い方だ。
薬草とか、そういうものだろうか。……考えたところで、おれにはわからない。
ただ、変わりゆく光景に、身を委ねる。