かくれんぼ、しよ?
「ごめんなさい……でも、毎晩、お家に帰らないで何してるの?」
こんな状況では、ミヅキが訊くのだって無理はない。父親が、遺体の心臓を取り出しているのだ。それも……毎晩、と言ったか。
「……薬を、作っている。流行病のことは知っているな?これ以上大人が死んだら、村は滅びてしまう」
――薬、だって……?人の心臓が?
「おとうさん――」
「ミヅキ、もう帰れ。おれもすぐ帰るから」
カンノの少し強い口調に、ミヅキは頷き、外へ出ていった。
「……おれは、間違っていない」
カンノは呟く。
……誰かを殺し、誰かを生かすことが、本当に間違っていないのかどうか――それは、おれにもわからなかった。
場面は変わる。
「一つ目の鐘が鳴ったら、家へ帰りなさい。二つ目の鐘が鳴る前に。鬼がやってきて、食べられてしまうから」
いつもの部屋の中で、聞き覚えのある言葉をミヅキが言った。
「――なんだ、それは」
「最近、人がいなくなるから、鬼のせいなんだって、みんなが言ってた。夕暮れを知らせる一度目の鐘が鳴ったら、帰りなさいって」
「……なるほどな……二度目の鐘は陽が落ちきると鳴るから、暗くなる前に帰れってことだな」
「そうなんだね。ミヅキ、遊んでくるね。暗くなる前に帰るから」
部屋から出ていくミヅキを見送った。
「チッ、余計なことが広まってる……」
カンノはため息混じりに呟いた。
……余計なこと、か。カンノが子どもを殺している光景を見た時、鐘が鳴っていた。
もしかしたらカンノは、二度目の鐘の鳴るタイミングで、人を殺していたんじゃないのか?
辺りも暗いし、もし叫ばれたり、殺す時に音がしても、鐘の音で聞こえない。
――だんだん、わかってきた。
あの伝承でいう鬼は、カンノのことだったんだ。
だけど、カンノは流行病を治すために人を殺している。
伝承が広まったのなら――それは、難しくなったんじゃないか?
そんなことを考えていると、また光景が変わった。