かくれんぼ、しよ?
「……まあ、おれだって、理由なく人を殺したりはしない」
「だったら、どうして――」
どうして、こんなにたくさんの死体がここに転がっているんだ。
「そうだな……まず、今いるこの村は、サツキの呪いによってつくられたものだ」
サツキ……林の中で殺した、恋人のことか。
「そして、この村に出る『鬼』は、サツキだ」
……そんな、わけない。おれはこの村で、サツキの姿なんて一度も見ていない。また、嘘でもつこうというのだろうか。
「あんなバケモノが、恋人だって言うのか?」
「お前にとっちゃバケモノだろうが、おれから見れば綺麗な女さ」
……小学校で、おれがカンノさんに手錠をかけて逃げた時、似たような言葉を聞いた気がする。
「それで、おまえから見れば、妹か?」
カンノさんは、ユウイチを顎で指す。
確かに、さっきも、夕霧山でも――おれがバケモノを見た時、ユウイチはユミがいると言っていた。
「ど、どういうことだ!鬼は姿を変えるってことか?」
「ま、そういうことだ。サツキは、おれもそうだが……ミヅキを、殺した……村人たちも恨んでいる。結局、ミヅキ以外のすべての人間を憎んでいるわけだ。で、鬼になり――『一番怖いもの』の姿で人間を襲いに来る」
一番怖いもの……それが、おれはバケモノ。ユウイチは……ユミなのか?
「それで、お前らに言ったと思うが――二度目の鐘が鳴った時に鬼は来る。これは本当だ」
「で、でも、鐘が鳴っていないのに、学校でも、さっきも、鬼は来たじゃないか!」
「だから、学校で会った時おかしいと言ったんだ……ああ、それと――鐘が鳴った時にサツキは誰かひとりのところに行くだろ?それじゃ、いつおれのところに来るかわからない」
「誰かって……他にも人がいたのか?」
ユウイチが訊いた。たしかに、おれたち以外には、カンノさんとミヅキ、それと吉越さんしか見ていない。あとはゾンビだ。
「たまにお前らみたいに迷い込んでくる輩がいるんだよ、大体そういうのは複数人で来るからな」
……なるほど、おれたちのように、注連縄を超えてしまった人たちだろう。つい、頭上の誰かの頭を見てしまい、慌てて目を逸らした。