かくれんぼ、しよ?
「で、おれだって殺されたくないからな。どうにか鬼が来ないようにできないものかと、方法を探した。それで、わかったんだよ、その方法が」
……だったら、ずっとそうしてればいいじゃないか。おれもユウイチも、固唾をのんでカンノさんの言葉を待った。
「二度目の鐘が鳴る前――鬼が来る前に、誰かを殺せば、その時に鐘が鳴るんだ。そうすれば、鬼は来ない」
「な、なんだよそれ……それが、人を殺した理由か?」
「ああ、そうだよ。……な?理由もなく人殺しなんてしてないだろ」
……馬鹿げてる、そんな理由で人を殺すなんて。
ユウイチは、どう思ったんだろうか。こんな理由でも、人殺しを認めるのだろうか。
「理由は、わかった……でもなんで、わざわざこんな殺し方をしたんだ?おまえは、流行病から村人を救おうと、ミヅキを守ろうと、頑張っていたはずだ!こんな風に殺した理由が、ないわけないよな?」
ユウイチが言った。……その言葉は、否定できないが、今目の前にいるカンノさんが、人を救うとか守るとかそういったことを考えているとは思えない。
「……ユウイチ、どうやらおまえは、おれのこと、買い被りすぎみたいだな」
カンノさんはそう言うと――冷酷さが伺えるような、笑みを浮かべた。
「そもそも、おれが昔、流行病の治療のために人を殺してる時――どんな気分だったと思う?」
サツキを殺したことを後悔して、罪滅ぼしにやっていたんじゃないのか?少なくともおれは、そう感じていた。
「病の人間を生かすか殺すか……すべてはおれ次第。神にでもなった気分だったよ」
「そんな……」
おれは『今は』だと思っていたが――昔からだったのか。善の心なんてないんだ、こいつには。
「殺すのだって、嫌々やってたわけじゃない。むしろ楽しかったよ。治療のためというのを免罪符にして、いつもいつも救うことを強要される命を奪ってやるのがな。……で、好き勝手やった結果がこの有り様だ」
カンノさんは、足元にあった誰かの腕を、踏んだ。
ユウイチは、カンノさんの言いようにショックを受けたようで、信じられないというような顔をしている。