点零
>よろしくお願いします!

>よろしく。

彼の相手は、
まだ初段の
70前後のお年寄りだった。

>どこから来たの?

>えっと、地元は
九州の方ですが、
今はこの辺りに住んでいます。

彼は、会話も
なごんだが、
それより、
欠点の多い、相手の碁が、
何よりも意外だった。

>強いねえ
どこで打ってたの?

>えと、インターネットです。

彼は、押していたが、
それよりも、
この長い囲碁が、
彼には初めての
人間との対戦であり、
やはり勝ちたかった。

しかし、
彼の戦うインターネットの
サイトは
彼はまだ初級の
対戦相手しかいない
初心者のテーブルでしか
打ったことはなかった。

初めはリードしていたが、
やはり細かい攻め合いでは
すこし間違えてしまった。

しかしながら
勝つことはできた。

>定石をまだ、あまり知らないみたいですね。

隣で見ていた
マスターは、
そう言った。

>私も、定石と違うと思ったんですが、
対処法を知らなくて。

負けた男の人も、
彼の定石の知らないことに
まず気になったらしい。

>えと、定石は覚えた方がいいんですか?

>覚えないと勝てません。

勝ったがな!
彼は思ったが、
確かにインターネットでも、
中級者の中で打つと、
手も足もでなかった。

定石を覚えることは、
囲碁においては
絶対的だが、
彼はインターネットで
上級者ルームの
対戦をよく観戦しており、
独学ながら、
そのなんとなくを
知ってはいた。

>定石を教えましょう。

マスターが、彼に
教えてくれることになった。


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