ルチア―願いを叶える者
『…っ…お前が…導師に見えるな…』
そう言って空を仰いだシェアは多分泣いていた。
…僕が来た世界。
それは、僕がいた世界とは土地も人も、考えすら少し違っている世界。
『俺は…お前のように民を導いていけるだろうか…』
『俺は王になる!!っていつもの自信はどこにいったんだい?』
人の死がシェアを不安にしているんだろう。
『今は全てが不安なんだ。今までどうやって走ってきたのか、分からなくなった。俺に出来る事なんて何もないとさえ思えてくる…』
『君は……』
シェアは気づいてない。
彼が今までどれほどの人間を救ってきたかを。
『君は、もう僕を救ったじゃないか』
『………ルカ…を…?』
驚いたように僕の顔を見るシェアに、頷いてみせる。
『この広い世界で、君が手を差し延べてくれなければ、僕はきっと普通に生きる事はできなかった』
この力を利用され、一生鎖に繋がれていたかもしれない、飢え死んでいたかもしれない。
『君の手は、誰かを救ってる。少なくとも、僕は君に救われたんだ』
『ルカ…』
『でも、人一人の力では、救える人間の数は限られる。それでもあきらめずに手を伸ばす君が僕は誇らしいんだ』
僕は、彼にとても感謝している。だから…
僕もこの世界にいるうちは、彼の助けになろう。
この広い世界で、僕を見つけてくれた優しい王子の為に…
『…お前の言葉は、俺をいつも救ってくれるな…』
『僕?』
『あぁ…。お前はルチアだよ。力があるとか、そうじゃなくて、お前自身が、俺を救ってくれた』
…なぜだろう……
嬉しい。
僕の力ではなく、僕自身を見てくれた事がなによりも嬉しかった。