ルチア―願いを叶える者
「ごめん…でもシェスには…」
「えぇ、分かってます。あなたの事です、俺達に責任を感じさせたくなかったのでしょう?」
無言で頷く。
「あなたの選択は正しい。ですが、もう力を使ってはいけません。二日も寝込むなんて尋常じゃない。あなたの体に良くない影響を及ぼしてるのは明白です」
「それは…………」
確かに、命を削ってるわけだから、影響が出てもおかしくないよね。
でも…実感がわかない。
私、今はなんともないんだもん…
「今はもうピンピンしてるし、全力疾走だって出来ちゃうし、大丈夫だよ。力も、もう使わないから」
「アル、私ね…後悔してない。力を使って、二人の大切な場所を守れたんだもん。私にも何か出来た事が嬉しい…」
役に立てた…
何より、私自身にも価値があるんだって思えた。
「あなたという人は…」
アルは私へと手を伸ばす。
「アル…?」
手首を捕まれたと思ったら、すでにアルの腕の中にいた。
「あなたのように、無垢な女性は他には知らない…。あなたは、真っさらだ…」
「…アル……」
私、アルに抱きしめられてる…
細いようでしっかりした胸板…
守られてるような、そんな錯覚がしてきた…