武勇伝 〜拳と拳のぶつかり合い〜

が、次の瞬間、男は体勢をやや低めに構え、ナイフを持った右腕を捕えると、ナイフを突きだした勢いを利用しそのままくるっと後方に投げ飛ばした！！ 鮮やかな一本背負いだ。

背中からおもいっきり叩きつけられたひったくりはピクリと動かない。どうやら失神したようだ。

男は地面に落ちたバッグを拾いあげる。すると、ＯＬが歩みよってきた。

男「バッグは無事でしたよ。どうぞ」

ＯＬにバッグを渡す。

ＯＬ「あ、ありがとうございます！ この中に亡くなった母の形見が入っていて…サイフとかは無くなってもあきらめがつくけど…もし形見が無くなったら後悔しきれませんでした。本当にありがとうございました」

深く頭を下げるＯＬ。

男「ふっ、無事でなによりでしたね。じゃあ私はこれで」

男は立ち去ろうとした。

ＯＬ「ま、待ってください！ お礼を…」

しかし、男はそのまま立ち去ってしまった。

その後ようやく警察が来て、ひったくりを捕まえ、ＯＬに事情聴取した。