珈琲の香り
「いっちゃーん!洗面所で叫ぶのはいいけど、早くしてねー!!」


相変わらず機嫌のいい桜の声が……


「不気味だよー」

「不気味でも何でもいいけど、早く来てー!」


洗面所にいるから桜が何してるかはわかんない。

だけど……

ガタガタ、ゴソゴソしてるのはわかる。

何……するつもりなんだろう?

でも、とりあえず言うこと聞いておかないと、あとが怖い。

桜への恐怖心をグッと飲み込むと、水で顔を洗った。

「桜ー、一応顔は洗った……け……ど……………何これ!!」


部屋に戻ると、そこには………


「いっちゃん、女の子大作戦!!」

「な!なんじゃそりゃー!!!」


部屋中に置かれた服!服!服!

しかも、置かれてるのは


「あたしんじゃねぇー!!」


そう。

置かれた服は、ピンクやら白やら、絶対に着ないような花柄のワンピースやら!

クローゼットをひっくり返しても、絶対に出てこないであろう服の数々。


「いっちゃんはいつもジーンズとかでしょ?たまには可愛らしい女の子に変身してー、涼さんを驚かせなきゃ!」

「………いや…………。絶対にイヤー!!!!!!」


絶対に拒否する!

そんなピンクやら花柄のスカートなんて、絶対に穿かない!

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